<ちむどんどん・東京編>26回~50回の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第45回:暢子、料理の基本に立ち返る
おでん屋台の立て直しを図って1か月、暢子(黒島結菜)が基本に立ち返ったおでんは、我孫子ヨシ(大島蓉子)にも客にも好評を得ます。嘘のように大繁盛しています。
様子を見に来た大城房子(原田美枝子)もぶたを使っただしとオリジナルのネタ・豚足を評価してくれました。
こうして暢子はアッラ・フォンターナに復帰を許されます。
暢子「10年前オーナーに引き取られるはずだった子供はうちなんです」
房子「知ってる」
暢子「えっ 知ってたんですか?」
この会話……。離れていたとはいえ親戚で、引き取る際に房子が優子に手紙を出しているのだからまったく知らない(気づかない)わけもないと思うのですが……。いやいや、こういうことも成立するのだとおわかりのかたもいるのかもしれません。そういうかたからしたらなぜ理解できないのかお腹立ちかと思いますが、ここは誰でもわかるような描写にしてほしいものです。もしくはもう全然描かないか。
余計なノイズは要りません。すきっとしたいのです。暢子は手ぬぐいで髪をすきっと覆った姿が似合います。テキパキと片付けものをしたりする動作も自然なので、黒島さん本人はとても利発なかたなのでしょう。つるっとした額が聡明さの証のようで美しいです。
そんな暢子のお母さん・優子(仲間由紀恵)はすぐに瞳をきょろきょろさせて、物事をあやふやにさせようとします。
賢秀(竜星涼)がお金の代わりに送ってきた大量の紅茶豆腐を目の前にして、
「困ってる時はお互い様 家族ならなおさらでしょう」と主張します。
この瞳をそらしながらあやふやなことを言う仕草を見て、仲間さんの出世作「トリック」の山田奈緒子を思い出す視聴者もいるのではないでしょうか。
山田奈緒子は貧乏なマジシャンで、「ちむどん」でヨシを演じた大島蓉子さん演じる大家さんの家賃の取り立てからしょっちゅう逃げ回っていました。
山田はインチキマジックをやり、家賃は払わず、でも悪びれない。賢秀に似ているといえば似ているし、賢秀よりも悪知恵が働き意地汚いところもあってけっこうクセモノですが、憎めないキャラでした。それは仲間さんのお力でありましょう。あと、堤幸彦監督のセンス。
「ちむどんどん」に堤幸彦的センスがあれば……。
いろいろ書いていますが、第45回は、おでんからちゃんと湯気が出ていたので良かったです。朝ドラの屋台ってたいてい冷えた感じがするので。
さて、賢秀です。
また、養豚所に戻って働き始めた賢秀。これからどうなるんでしょうか。
朝ドラはじまって以来の困ったお兄さんとしてニーニーが注目されているところ、第45回放送終了後、「あさイチ」のプレミアムトークのゲストに竜星涼さんが登場しました。矢沢永吉さんが好きな話もされました。「成り上がり」が愛読書ってなんかすごい。
現在の注目度「役者冥利に尽きる」と語った竜星さん。全国区で顔と名前を印象づける意味ではひじょうにいい役でもあります。
先日、TBS で放送していた即興劇「スジナシ」に出たときも、笑福亭鶴瓶さんに「おもしろいですよ、だらしない役は」と肯定的に言われてました。
鶴瓶さんは昔、悪い役をやったとき見た人にいろいろ言われたと「CMもこなくなりました」と不吉なことも言ってましたが……。
鶴瓶さんは山田洋次監督の映画「おとうと」(10年)で姉(吉永小百合)を困らせる弟役を演じていたことがあります。山田監督が自作の寅さんをさらに現代に置き換えて苦い方向に進化させたような役でした。
集団にはひとり異質な人物がいたほうが硬直化を防げていいんですよね。
※この記事は「ちむどんどん」の各話を1つにまとめたものです。
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