<ちむどんどん・東京編>26回~50回の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第48回:優子と歌子が上京
歌子(上白石萌歌)の体調を案じて、ついに東京の病院で診てもらうことにした優子(仲間由紀恵)。東京の華やかさに気圧されます。迎えに来たのは智(前田公輝)と和彦(宮沢氷魚)。見違えた和彦に歌子と優子は驚きます。
最近の智は暢子(黒島結菜)にすっかりデレデレしていて、ご主人が大好きで尻尾をちぎれるほど振ってまとわり付く大型犬みたいな感じですが、優子と歌子の前では節度ある好青年です。こっちの智のほうがいいなあと思うのですが、好きな人の前では人は変わってしまうものなのでしょうか。
夜はあまゆで優子と歌子の歓迎会。このときも智はテンションあげあげで暢子推ししています。そんな彼の気持ちに歌子は気づいて、胸がちくりと傷んでいる様子。
暢子と智が中心になって盛り上がっているテーブルからひとり離れている歌子。疲れたからと2階に上がります。
昔、智からもらった紙で作った金メダルを大事に持ってきていますが、虚しい歌子。
おとなしい歌子にあまり構うのも……と遠慮しているのかもしれませんが、今日来た歌子をひとりにして、暢子と智と和彦と愛(飯豊まりえ)と田良島(山中崇)がひとつのテーブルでわいわいやってたことに、自分のことのように寂しい気持ちになってしまいました。
たまたま、同じテーブルの優子と三郎(片岡鶴太郎)がちょっと席をあけて、多江(長野里美)がちゃんと身体を、歌子と暢子たちのテーブルをつなぐような向きにして座っているとはいえ、距離が遠い。
気を使われて、そばに集まって来られたり、たくさん話しかけられたり、話題の中心になるようなことは好まない。そうされても話すことがあまりないから。でも、目の前で姉は話題の中心で楽しくやっているのに、自分は何も話すこともない(新しい世界に踏み出したけれどその会社も辞めてしまっている)と事実を突きつけられるのはきつい。
いたたまれず、2階にあがる気持ち、わかります。うまく輪のなかに入りたいけど入れない自分がいやなんでしょうね。
こういうとき、どうしたらいいのだろう。そっとしておくしかないのでしょうか。
優子が持ってきたサーターアンダギーを「え」「え」「手作りですか! 手作りですか」「え」「いいんですか」「やったー」と大喜びでもらってすぐに袋を開けた田良島は、新聞社ではクールに振る舞っていますが、たぶん、優子に気を使って盛り上げようとしたのだと思います。
例えば、撮影現場で誰かが差し入れを持ってきたとき、さほどのものではなくてもすごく喜んでみせる人がいます。嘘でも嬉しいものなのです。
そんな気遣いのできる田良島でも、歌子がひとりテーブルでポツンとしているときは手出しできませんでした。ここは智か暢子か和彦なわけですが、和彦は会社の話で地雷を踏んでしまっているのでないでしょう。
暢子だって、二ツ橋(高嶋政伸/たかははしごだか)がやってきたとき、彼に料理の味見を頼みます。それは、元気のない二ツ橋のアイデンティティである料理に関する相談をすることで、彼の存在意義を高めようとしたのでしょう。鈍感な彼女なりの気遣いなんじゃないかと思います。
だから、暢子が歌子にさほど構わないのは、それがいままでふつうのことだったのかなとも思いますが、最近の歌子がかなり追い詰められていることに暢子は気づけていませんでした。
ほんとは智が隣に座ってあげるべきなんですが、すっかり暢子に夢中で気づけなかったのでしょう。金メダルをくれた智は遠い。
上白石萌歌さんの瞳が寂しさいっぱいでした。なんでしょう、この雨の朝のような憂いの表現力!
※この記事は「ちむどんどん」の各話を1つにまとめたものです。
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