<ちむどんどん・東京編>26回~50回の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第38回:和彦の取材、歌子のオーディション
東洋新聞社でボーイ(お手伝い)をはじめ半月が経った暢子(黒島結菜)ですがなかなか新聞に親しめません。デスクの田良島(山中崇)が「取材も料理も同じ」と説きます。料理は食べてもらう人のことを思ってつくる。取材も読んでもらう人のことを思って書く。
田良島の話を聞いた暢子は、オーディションであがって歌えなくなった歌子(上白石萌歌)に「取材」を
「歌」に置き換えてアドバイスします。
「うちも東京で揉まれて大人になったわけさあ」こんなふうに言う暢子の調子の良さは、ニーニー(竜星涼)に似ている気がしました。
たちまち歌子はリラックスして、家族のことを想って、得意の「翼をください」を透明感のある声で歌います。
「あさイチ」の博多華丸が、このシーンでは意地悪だった審査員の表情が変わるところを映したほうがよかったのではないかと意見していました。確かにそういうのがあったほうが盛り上がるようにも思いますね。
ただ、審査員の顔は映ってなかったですが、背後のオーディションを受ける人の表情がみるみる変わっているのは見てとれました。そのひとは、審査員の表情もちらっと確認して自信をなくしたような顔もしています。
歌子を中心にしたワンカットでこのオーディション会場の空気が歌子の歌で変わったことが表現されています。無駄のないいい場面です。
ヤング大会のときも感じてレビューに書きましたが、「ちむどんどん」はエキストラの芝居がしっかりしています。エキストラ自身が優秀なのもあるでしょうし、おそらくエキストラを担当して指示を出す助監督がしっかりしているのだと思います。
表情をワンカット入れたらいいのでは感想は、第37回で筆者も智(前田公輝)が和彦(宮沢氷魚)を見て
ライバル?と意識する顔を入れたほうがいいのではないかと書きましたが、智はシンプルな性格でしょうから、大野愛(飯豊まりえ)も一緒に来ていたので安心しているのかもしれません。
さて、和彦です。東洋新聞の人気企画「最後の晩餐」の取材をすることになりました。
ミラノの料理人・タルデッリ(パンツェッタ・ジローラモ)は「最後の晩餐」に食べたいものはピッツァ・マルゲリータでしたが、記事を読んだ田良島はイタリア北部・ミラノ出身のタルデッリが南部のピザを好むのは食文化的におかしいと指摘します。
なぜピザなのか理由を聞いても答えてもらえず時間がなかったと言い訳する和彦ですが、取材の予定時間を過ぎてから、記事のテーマをおまけのように聞くのはミスですよねえ。最近の「最後の晩餐」に不満があり、自分なりの切り口で取材して書いてみたいという気持ちもわかりますが……。
”最後の晩餐”という形骸化されたものがつまらないと感じて、もっと深い食文化に切り込みたいと勇んでしまった。要するに、朝ドラよりも土曜ドラマのような社会派のドラマをやりたいというような感覚でしょう。でも朝ドラなら朝ドラ、最後の晩餐なら最後の晩餐のルールに則ったうえでいいものにしないといけません。
文化部に配属になったばかりの和彦のやる気の空回り。彼もまた読者のことを考えずにひとりよがりになってしまっているようです。
タルデッリの謎は、暢子がフォンターナで、淀川先生(本田博太郎)にフォンターナではピザを置くはずがないと言われた謎ともつながりそうですね。
※この記事は「ちむどんどん」の各話を1つにまとめたものです。
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