<ちむどんどん・東京編>26回~50回の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第29回レビュー
原田美枝子さんの堂々たる姿よ
すばらしいです。イタリアンレストランアッラ・フォンターナのオーナー・大城房子役の原田美枝子さんは「ちむどんどん」のコントのような雰囲気にいっさい流れることなく、上品で毅然とした王妃のように存在しています。
氷の女王のように冷たく見えますが、比嘉暢子(黒島結菜)が敗者復活テストで沖縄そばを作ると、ほんの少しだけ微笑んだように見えます。
それから、暢子が形見に持っているお父さん賢三(大森南朋)の包丁を見たときの意味深な表情。物語が立ち上ります。
俳優はセリフがなくてもその前後左右になる物語を感じさせるのも大切なお仕事です。料理長・二つ星じゃなくて二ツ橋光二役の高嶋政伸(たかははしごだか)さんも房子の忠実な理解者なのでしょう。房子が厳しい分、フォローに回る役割を担っているように感じます。
高島さんはエキセントリックな役もお似合いですが、”忠実”な役もバツグンです。
”ニーニーのことは置いといて…”「あさイチ」渾身のテロップ
お父さんの言葉を思い出して敗者復活テストでおいしい沖縄そばを作った暢子は無事合格。下宿は鶴見の沖縄料理店あまゆの2階に決まりました。
あまゆとは沖縄の言葉で「甘い世の中 苦しいことのない世界」という意味。
苦しいことのない世界。あったらいいですよね。
労働者の街・鶴見はリトルオキナワ。沖縄から来た人たちが集まって助け合って暮らしている場所で暢子も守られていくのでしょう。県人会会長の平良三郎(片岡鶴太郎)が保証人で安心。
同じ沖縄の人でも、本土で生まれて沖縄そのものを知らない二世もいるし、考え方の違う人がいて争ったりもするようです。それをとりまとめるのが三郎。弱い者が助け合う。その精神を持っています。
1階のお店・あまゆは沖縄ムード満点。三郎の弾く三線の伴奏でみんなが盛り上がると、暢子は賢三の幻影を見ます。
賢三は沖縄の心であり、暢子の人生の指針として包丁に宿り暢子を見守ってくれることでしょう。
ちょっとホッとしたのもつかの間、お店にニーニーこと賢秀(竜星涼)がやって来て……。
勘定払わず帰ったにもかかわらずまた飲みに来ているという相変わらずの調子の良さですが、暢子は「ニーニー」と抱きつきます。
感動の再会。でもニーニーは疫病神や貧乏神のような存在なので不安しかありません。
今日の一回くらいは暢子のいい話だけで終了しても良さそうなところ、ニーニーが出てきたため、また心がざわつきました。邪気がいっさいないので嫌いにはなれない人物なんですけどね……。
「あさイチ」では朝ドラ受けはなく、その代わり、冒頭のテロップに「ニーニーのことは置いといて…」と入っていました。テロップなので事前に用意したものでしょう。スタッフの人たちも協力的ですねー。新たな朝ドラ受けのスタイルが発明されて、今日も日本は平和です。
※この記事は「ちむどんどん」の各話を1つにまとめたものです。
→元記事はこちら
→目次へ戻る
「ちむどんどん」をU-NEXTで視聴する
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
(C)NHK