<ちむどんどん・東京編>26回~50回の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第37回:暢子と和彦、10年ぶりの再会
第8週「再会のマルゲリータ」(演出:中野亮平)では、オーナー大城房子(原田美枝子)が暢子(黒島結菜)の教養のなさに業を煮やし、東洋新聞社に送り込みます。そこはアッラ・フォンターナの厨房とはまた全然違う喧騒が……。目の回る忙しさのなか、新聞記者になった和彦と再会!
喜んでいると、和彦は暢子の下宿にまで引っ越してきて、一気に10年の空白が埋まったようでした。
ひよわそうだった和彦がしゅっとかっこよくなって、記者としても優秀そうな雰囲気を漂わせ、もうそれだけで気分のいい第37回。
彼がなぜ鶴見に住んでいるのか、その理由なども述べられている、和彦役の宮沢氷魚さんのインタビューも合わせてお読みください。
【関連記事】「ちむどんどん」出演の宮沢氷魚が語る、沖縄との縁と“朝ドラ”で感じた変化
和彦にはどうやらおつきあいしている女性・大野愛(飯豊まりえ)がいて……。
暢子は一般常識もないうえ、恋の概念もなさそうで、いまのところ、愛の存在を気にしてはいないようですが、それ意外に気になることはいくつもあります。
”朝ドラあるある”ではありますが、まず、和彦は10年前東京に帰るとき手紙を書くと言っていたのに、いつの間にか連絡をとりあわなくなってしまったのはなぜなのでしょうか。
長い人生、そういうこともよくあるとはいえ、朝ドラでは縁がぷっつり切れることが多過ぎるのです。
狙いとしてはいつか再会するサプライズのためと推測します。裏設定では連絡をとりあっていたとしても、そこはあえて描写しないことが多々あります。
直近の例としては「カムカムエヴリバディ」。ヒロインるい(深津絵里)がお世話になった親代わりのような大阪の竹村夫妻(村田雄浩、濱田マリ)と連絡をとっていないように見えるのはなぜ? と視聴者はやきもきしました。
後々になって、最初はやりとりしていたが平助(村田)が病気で故郷に引っ越したことで少し縁遠くなったという説明がされました。
「ちむどんどん」の和彦は真面目でまめに連絡をとりそうなキャラですし、また、愛に暢子ややんばるの話をよくしていたようなのに、連絡をとってないのもちょっと不思議であります。お父さん(戸次重幸)が亡くなったら一報入れてもよさそうですが比嘉家に心配かけたくなくて連絡しなかったのかもしれません。
ドラマで描かれない時間について真剣に考えてはいけません。それが朝ドラの常識。
朝ドラを楽しむ秘訣:不自然なまでに描かれないことは、あとで出番がある印。そういうルールと思っていると気が楽になります。
もうひとつ気になったことがありました。暢子が新聞社でしきりにメモしていました。そういえば暢子はなんでもメモするメモ魔でした。フォンターナの1年半、様々な経験をメモしていなかったのだろうか。ちょっとした会話に出てくる地理や歴史や仕事の常識などなんでもメモしていそうだけれど……と思ってもいけません。暢子は料理を覚えることで精一杯だったのですたぶん。
よくある新卒教育では、専門職を学ぶ前に一般常識を学ばせるものですが、房子はそうせず、暢子の個性を伸ばすことを優先したのでしょう。それはそれで常識にとらわれない教育方法として興味深いです。
考えてみたら、一般常識に秀でても肝心の料理に意外と才能がなかったらそこにいることが無駄になってしまいますから合理的ともいえます。
もうひとつは、智(前田公輝)。和彦登場で最強ライバルと警戒しないのでしょうか。単純に歓迎してましたが、むむっという顔をワンカット入れてもいいような気もしましたが、それもまたあとでゆっくりということなのでしょう。
以上、好意的に捉えてみました。あえて描かない。それは代々受け継がれる朝ドラ秘伝なのかもしれません。
ただ、暢子と再会したらすぐに社食の美味しいものを紹介している和彦に、暢子との約束をちゃんと覚えている優しさを感じました。こどもに優しいお兄ちゃんなのもいい感じでした。
※この記事は「ちむどんどん」の各話を1つにまとめたものです。
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