<らんまん・結婚編>11週~15週までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第65回のレビュー
万太郎(神木隆之介)と寿恵子(浜辺美波)のせっかくの祝言の日、本家と分家のわだかまりが爆発。綾(佐久間由衣)と竹雄(志尊淳)が結婚すると発表し、分家は思惑が外れて怒り出します。
タキ(松坂慶子)は、家とはなにか、と振り返り、家より己の願いに沿って生きていくことを説くと、豊治(菅原大吉)が、これまで分家と見下してきたくせに、と反論。それはその通りであります。
タキは、これからは本家と分家と上下の別なく商いに励んでいってほしいと頭を下げます。
うまくまとまった感じにはなっていますが、むしがいいともいえます。例えば、3つの視点でひとつの状況を描く映画『怪物』(是枝裕和監督)のように、違う角度から見たら、タキって食えないいやな人だったかもしれないです。なぜなら、結婚式の日にわざわざ揉めそうな話をするのではなく、あらかじめお話したり、これまでのことを謝罪したりすることが誠意ではないかしら、とも思うからです。
結婚式の日にさくっとこれまでの遺恨はなしにみたいに済ますという、けっこう、強引です。そこはドラマだから仕方ないという感じでしょうか。
とはいえ、松坂慶子さんが凛として素敵でしたので、良かったです。タキひとりではどうしようもなかった過去のしがらみを持って去っていくということなのでしょう。
桜の病は治らず、タキは「天寿」を覚悟します。
でも、万太郎が、病気になっていない枝を接ぎ木しました。
これがやがて育って伸びていくはず。命のバトンです。
万太郎と寿恵子、綾と竹雄が桜の木の下で子どもたちとともに笑っている未来の風景を思い浮かべながら「らんまんじゃ」とつぶやくタキ。フィニッシュがきれいに決まった!
それからビジョンは過去へーー。万太郎と綾が血のつながりでなく縁で家族になったときの風景。ヒサ(広末涼子)が綾を自分の娘として育てることにしたときの思い出です。ヒサがそうやって育ててきたからこそ、いま、綾がいる。
そもそも嫁は血が繋がっていません。血のつながりのない家に嫁いで、子供を作って、家を繋いでいく。よそから来たタキとヒサが夫亡きあと、愛情を繋いできたということを感じる場面でした。
これからは、綾と竹雄、槙野本家の血の繋がっていない者たちが、峰屋を継ぐ。だから、きっと分家を差別しないでしょう。すでに彼らが分家みたいなものですから。
”家”を大事にする考えも、時代の変化とともに消えていきます。
家に翻弄されてきた江戸生まれの女が消えていく。爛漫の桜の前で、タキがふわっとソフトフォーカスで映ります。やさしく美しい最期でした。
こんなすてきな最終回かと思ったもなかなかないです。(朝ドラ辞典参照)
これからいよいよ新しい時代の到来です。これだけきれいに前半をまとめてしまうと、後半が大変そうな気もしますが。
※この記事は「らんまん」の各話を1つにまとめたものです。
→元記事はこちら
→目次へ戻る
「らんまん」をU-NEXTで視聴する
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
(C)NHK