<らんまん・結婚編>11週~15週までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第53回のレビュー
万太郎(神木隆之介)を諦めようとして、バラの絵をやぶこうとした寿恵子(浜辺美波)ですが、破くことができず、万太郎への思いが募ります。その頃、万太郎は、植物の画に集中していました。
それを、下宿で見守る、波多野(前原滉)、藤丸(前原瑞樹)、丈之助(山脇辰哉)。
万太郎のなみなみならぬ集中力に感心します。
「〜僕も探したいな 僕の一生をパンパンにできること」
(波多野)
波多野は万太郎のように全身全霊でものごとに向かうことの尊さを語ります。
せっかく生まれてきたのだから、無為に過ごさず、やれることは全部やりきりたいのは当然のこと。それができるのも才能であって、万太郎は、やりたいことを全部やりきる才能がある人なのです。
自分たちはスカスカと反省する藤丸だって、東大に入れたほど勉強してきたわけで、十分だと思います。それでも真摯に反省する。その気持ちが人間を向上させるのでしょう。
「小説が爆誕しちゃうんだよ」と令和的な言葉を使う丈之助は万太郎に感化され、生涯かけてシェイクスピア全作の翻訳にチャレンジしようと考え始めます。丈之助は坪内逍遥先生がモデル説に真実味が増してきました。
時代が急激に変化していくなかで、大学生たちは夢にあふれ、花咲こうと膨らんだ蕾のようにやる気に満ち満ちていて明るい。時代の流れのなかで価値観を否定されたりなくなってしまったりするものを惜しむ気持ちもあるけれど、新しいものへの希望はそれに勝ります。
そこに竹雄(志尊淳)もお茶いれましょうかと加わって、一層にぎわいます。
竹雄は万太郎の力作を「まあまあ」と言うので、3人はぎょっとしますが、竹雄は「あなたがあなたを認められる絵を」と誰よりも万太郎を理解しているようです。
「あなた」って言うと、やっぱり竹雄が妻みたいです。仕事中に頃合い見計らって「お茶入れましょうか」とのぞきこむ行動も妻ぽい。
いまのところ竹雄が妻的存在ですが、未来の妻・寿恵子はどうしているかといえばーー。
「熱い、汗かいちゃった」
寿恵子はダンスのレッスンで、クララ先生(アナンダ・ジェイコブズ)に相手を想像して踊るように言われ、万太郎を思い浮かべて踊ります。
羽が舞うなかで笑顔で踊るふたりーーの妄想のあとのセリフが「熱い、汗かいちゃった」です。爽やかスポーツのあとでもこういうセリフはありますが、万太郎とのダンスの妄想のあとだと、なにかじんわり湿度を伴って聞こえます。
クララは寿恵子に「愛のために」「心のままに」生きることを教えます。
万太郎への愛で、寿恵子の器が徐々に埋まって、パンパンになってきているのを感じました。ドラマのなかから湿度のある熱情が溢れて溢れて留まるところを知らない。
植物学の学会誌の原稿も集まって。なかには「花と猫の関係」について論じられたものもあるのです。気になる!
誰もが、それぞれのテーマをもって生きています。
※この記事は「らんまん」の各話を1つにまとめたものです。
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